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CASBとUEBAによるセキュリティ強化の基本~定義や機能、セキュリティ上のメリットについて解説~

コラム
CASB
Posted on:
May 9, 2024

デジタルトランスフォーメーションが進む現代において、企業のクラウド環境は常に複雑化し、新たなセキュリティリスクが顕在化しています。このような背景の中、クラウドセキュリティの分野においてCASB(Cloud Access Security Broker)とUEBA(User and Entity Behavior Analytics)がセキュリティ対策の新たな標準として注目されています。これらの技術は、クラウドサービスの利用をセキュアに保ちつつ、企業のデータを保護するための重要な役割を果たします。本文では、CASBとUEBAの基本的な定義、それらが提供する主要な機能、そしてセキュリティ上のメリットについて詳しく解説していきます。

CASBとUEBAの概念と基本機能

CASBやUEBAという用語を耳にすることがあっても、その意味や重要性について詳しく知らない方も多いかもしれません。このセクションでは、これらの技術の基本的な概念と主要機能に焦点を当て、どのようにして企業がセキュリティリスクに対処できるのかを解説します。

CASBとは?CASBの主要機能

CASBはクラウドアクセスセキュリティブローカーの略で、企業がクラウドサービスを安全に使用できるように、ユーザーとクラウドサービス間のセキュリティ管理を担うツールです。主要な機能には、不正なクラウド利用の監視、機密データの保護、脅威からの防御、そしてコンプライアンス遵守の確保が含まれます。CASBは、クラウドアプリケーションへのアクセス制御、エンドポイントセキュリティ、データ損失防止(DLP)ポリシーの適用など、企業のセキュリティフレームワーク内で重要な役割を担います。CASBの導入により、企業はクラウド上のリソースをより効果的に管理し、セキュリティインシデントのリスクを軽減することができます。

ユーザー行動分析を行うUEBA

UEBAは、機械学習とアルゴリズムを活用して、ユーザーやエンティティの行動を分析し、異常な行動パターンを検出する技術です。ここで言う「エンティティ」とは、システム内のユーザーアカウントやデバイス、アプリケーションなど、セキュリティ分析の対象となるあらゆる要素を指します。この技術により、内部脅威、アカウントの乗っ取り、外部からの侵入など、従来のセキュリティツールでは見逃されがちな脅威に対処することが可能になります。UEBAソリューションは、ログデータ、ネットワークトラフィック、アクセスパターンなど、多様なデータソースから情報を収集し、それらのデータを分析してリスクを評価します。異常が検出された場合、UEBAシステムはリアルタイムでアラートを発し、セキュリティチームが迅速に対応できるようにします。

CASBとUEBAの違いは?導入によるセキュリティメリット

クラウドセキュリティの領域において、CASBとUEBAはそれぞれ独自のアプローチでセキュリティ強化に寄与しています。しかし、これら二つの技術の機能と目的には明確な違いがあります。このセクションでは、CASBとUEBAの違いを明らかにし、それぞれが企業のセキュリティ体制にどのようなメリットをもたらすのかを掘り下げます。

CASBとUEBAの違い

CASB(Cloud Access Security Broker)とUEBA(User and Entity Behavior Analytics)は、クラウドセキュリティを強化するために異なるアプローチを採用しています。CASBは、企業のクラウド利用を管理し、データセキュリティポリシーを適用することで、クラウドサービスへの安全なアクセスを確保します。例えば、指定したサービスについては、ファイルのアップロード・ダウンロードを禁じるといった制御が可能です。これにより、クラウド上のデータ保護とコンプライアンスが強化されます。一方で、UEBAは機械学習を用いてユーザーやシステムの行動を監視し、通常とは異なる活動を通じて内部脅威やサイバー攻撃の兆候を検出することに焦点を当てたセキュリティソリューションです。CASBがクラウド資源へのアクセス制御の監視役を担うのに対し、UEBAは組織内部のセキュリティ脅威に対する洞察を提供する点で異なります

クラウド環境におけるセキュリティリスクの軽減

CASBはクラウドサービスの安全性を管理し、データ保護とアクセス制御を強化することで、クラウド上のリスクを効果的に軽減します。具体的には、不正なアクセスを検出、機密性の高いデータの漏洩防止、そして企業のセキュリティポリシー違反の監視を行います。一方、UEBAはユーザーとシステムの行動を解析することで不審な活動に迅速で対応し、セキュリティ違反の影響を最小限に抑えることが可能です。CASBとUEBAの併用は、クラウド環境における包括的なセキュリティフレームワークを構築し、企業が直面するセキュリティ課題への対応能力を向上させます

内部脅威の検出と対応の強化

UEBAは、従業員やシステムによるセキュリティ侵害のリスクを最小化するために、内部からの脅威を特定することに対し特に有効です。このシステムは、従業員の行動パターンを継続的に分析し、通常とは異なる活動を即座に検出します。例えば、通常業務時間外のデータアクセスや大量のデータダウンロードといった行動が検出された場合、UEBAはこれを内部脅威の可能性があるとして警告します。この早期警告システムにより、企業はセキュリティインシデントが深刻化する前に迅速に対処でき、潜在的なデータ漏洩や不正アクセスを防ぐことが可能になります。UEBAの活用は、内部脅威によるリスクを効果的に最小化し、企業のセキュリティとデータ保護を強化する重要な手段と言えるでしょう。

コンプライアンスとガバナンスの向上

CASBとUEBAの導入は、コンプライアンスとガバナンスの強化にも寄与します。CASBは、企業がクラウドサービスの利用に関して法的および業界特有の規制要件を満たす支援をします。特に、データ保護規則やプライバシーに関する法律の遵守が求められる場合、CASBはポリシー違反を防ぎ、適切なデータ処理が行われることを保証します。同様に、UEBAは不正行為やポリシー違反の可能性を検出することで、ガバナンスの向上に貢献します。これらのツールによる継続的な監視と分析は、組織がコンプライアンス要件を遵守し、高いレベルのガバナンスを維持するのに役立ちます。

業界をリードするCASBとUEBAのソリューション紹介

CASB(Cloud Access Security Broker)とUEBA(User and Entity Behavior Analytics)は、セキュリティ対策の前線を担う重要なソリューションであることを説明してきました。本セクションでは、これらのソリューションがどのように企業のセキュリティ戦略を支えるのか、その特徴と選定時のポイントを探ります。

CASBソリューションとその特徴

Secure Service Edge (SSE) の領域におけるリーダーであるNetskopeやZscalerは、クラウドセキュリティの先進的なアプローチを提供しています。Netskopeは、そのクラウドネイティブなプラットフォームを通じて、ユーザーとクラウドサービス間のセキュアな接続を保証し、データの保護と脅威からの防御を強化します。一方のZscalerもクラウドネイティブのソリューションで、ゼロトラストセキュリティモデルを採用し、ユーザーの安全なインターネットアクセスとプライベートアプリケーションの利用を可能にします。これらのCASBソリューションは、クラウドサービスの透明性と制御を提供し、企業がクラウドベースのリソースを安全に利用するための基盤を強化します。

UEBAソリューションと選定ポイント

UEBAソリューションの分野では、ExabeamやGuruculなどの企業が市場をリードしています。Exabeamは、高度な機械学習技術とデータサイエンスを駆使して、異常なユーザー行動を検出し、セキュリティインシデントへの迅速な対応を可能にします。一方、Guruculは、リスクベースのアプローチを採用し、企業のセキュリティ体制に深い洞察を提供するUEBAソリューションで知られています。選定時には、これらのソリューションが既存のセキュリティ環境とどのように統合できるか、また、カスタマイズ性やスケーラビリティを考慮することが重要です。

CASBとUEBAによる新時代のセキュリティ

本記事では、CASB、UEBAといった技術の基本、その機能や目的の違い、導入のメリットについて探求しました。CASBによるクラウドアクセスとデータの厳格な管理から、UEBAによる精巧な行動分析と脅威検出に至るまで、両ソリューションは企業のセキュリティ体制強化に大きく寄与するでしょう。また、これらの技術は、セキュリティ運用の効率化と自動化を促進し、セキュリティチームがより戦略的な業務に集中できる環境を提供します。結果として、CASBとUEBAは、セキュリティの脅威に迅速かつ効果的に対応するための新しい基準を設け、企業が安全にクラウドサービスを活用し、デジタル変革を推進する上で非常に重要な存在となっています。この新時代のセキュリティアプローチにより、企業は今日存在する、そして将来予測されるセキュリティのリスクに対して、より備えることができるでしょう。

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