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CASBとCSPMの違いとは?二つのソリューションを基本から徹底解説

コラム
CASB
Posted on:
May 23, 2024

クラウドサービスの普及に伴い、企業のセキュリティ管理はより複雑化しています。この課題に対応するため、CASB(Cloud Access Security Broker)とCSPM(Cloud Security Posture Management)という二つのソリューションが注目を集めています。しかし、これら二つのサービスの違いや、どのようにして企業のセキュリティ戦略に貢献するのかについては、多くの人が疑問を持っていることも事実です。この記事では、CASBとCSPMの基本的な違いから、それぞれの機能、適用シーン、そして組織がこれらのソリューションを選択する際の基準について徹底的に解説します。

CASB、CSPMの違いを理解するための基礎

クラウドセキュリティの向上に不可欠なCASBとCSPMは、それぞれ独自の機能と利点を持ち、これらの違いを理解することが重要です。本セクションでは、クラウドサービスへのセキュアなアクセスを促進するCASBの定義や機能、加えて、クラウドインフラの安全性全般を維持・強化するCSPMの活用シナリオとメリットを初歩的なレベルから掘り下げていきます。

CASBの定義と機能

CASBはクラウドアクセスセキュリティブローカーの略で、企業がクラウドサービスを安全に活用できるよう、ユーザーとクラウドサービスの間でセキュリティポリシーを管理・施行する重要なツールです。このツールは、シャドーITの検出、機密性の高いデータの保全、様々な脅威への対応、およびコンプライアンスの遵守といった幅広い機能を提供します。具体的には、クラウドアプリケーションのアクセス管理、データ損失防止策の実施など、企業のセキュリティ体制を支える多様な役割を果たします。CASBを活用することで、企業はクラウド資源をより効率的にコントロールし、セキュリティ違反のリスクを大幅に低減させることが可能になります。このようにCASBはCSPMと比較してユーザー行動に基づくセキュリティ対策に特化しており、それが大きな違いとなります。

CASBの適用シーンとその効果

CASBの適用シーンは多岐にわたり、企業がクラウドサービスの利用を安全かつ効率的に管理する上で欠かせません。特に、社外からのクラウドアプリケーションへのアクセス増加や、リモートワーク環境下でのセキュリティ確保が求められる場合に役立ちます。CASBを活用することで、機密情報の不正な共有やアップロードを防ぎ、データ漏洩のリスクを軽減します。利用者にとっては、セキュリティの厳格化と同時に、クラウドサービスの利便性を損なわずに作業を続けられる点が大きなメリットです。このように、CASBはセキュリティ強化とビジネスの柔軟性を同時に提供し、違いを理解することが組織のクラウドセキュリティ戦略をサポートします。

CSPMの目的と主要機能

CSPM(Cloud Security Posture Management)は、クラウドインフラのセキュリティ態勢を全面的に強化するために設計されたソリューションです。その主目的は、クラウド環境内での構成ミスやセキュリティ設定の不備を継続的に監視し、特定することにあります。このアプローチは、CASBのアクセスとデータセキュリティに特化した違いを補完します。これにより、データ漏洩や不正アクセス、クラウドリソースの誤用など、様々なセキュリティインシデントのリスクを効果的に低減します。CSPMの核となる機能には、セキュリティポリシー違反の検出、リアルタイムでのリスク評価、違反発生時の迅速なアラート通知、そしてセキュリティ設定の自動修正提案などが含まれます。これらの機能を通じて、CSPMは組織がクラウド資産のセキュリティ状態を最適化し、コンプライアンス要件を継続的に満たすことを支援します。

CSPMの利用シナリオとメリット

CSPMの活用は、クラウド環境の安全性とコンプライアンスの維持に不可欠です。このツールは特に、クラウドリソースの構成管理やセキュリティ状態の最適化においてその力を発揮します。利用シナリオとしては、誤って公開されたクラウドストレージ設定から生じるデータ漏洩のリスクを特定し、迅速に修正を促す場合や、異なるクラウドプラットフォームにわたるセキュリティポリシーを統合し、管理の複雑さを軽減する場合などがあります。さらにCSPMは、CASBとの違いを活かし、セキュリティ設定の不備を自動的に識別し、修正案を提示することで、継続的なセキュリティ改善サイクルをサポートします。このようにCSPMを導入することで、企業はセキュリティ漏洩のリスクを大幅に低減し、クラウド環境における安全性と効率性を同時に高めることが可能となるでしょう。

CASBとCSPMの主な違い

CASBとCSPMは、クラウドセキュリティを強化するために設計されたツールですが、それぞれ異なるアプローチを採用しています。このセクションでは、両ソリューションがどのように機能し、どのようなシナリオで最適に活用できるのかを、それぞれの適用範囲とアプローチの違いを通じて掘り下げていきます。

各ソリューションの適用範囲と焦点の違い

CASBは、企業がクラウドサービスを利用する際のアクセスポイントに位置し、特にユーザー認証、データトラフィックの監視といったデータセキュリティにその機能を集中させています。これにより、クラウド上での安全な作業環境を提供し、潜在的なデータ漏洩や侵害行為を防ぎます。このアプローチとは違い、CSPMは、クラウドサービスの構成全般にわたるセキュリティの態勢を評価し、セキュリティポリシーの一貫性と実施状況をチェックすることで、クラウドリソースのセキュリティを向上させます。CASBが個々のアクセスとデータを管理するのに対し、CSPMは全体のセキュリティ環境を改善することに焦点を合わせており、二つは補完的なセキュリティソリューションと言えます。

セキュリティ管理のアプローチの差異

CASBとCSPMは、クラウドセキュリティ管理における焦点と手法の違いを提供します。CASBは、リアルタイムのアクセス制御やユーザー行動の分析といった機能を通じて、エンドポイントからクラウドサービスへのアクセスを厳格に管理します。これは、企業資産をセキュリティポリシー違反や脅威から保護するためのCASB特有の違いです。対照的にCSPMは、クラウド資源の構成管理にその力を集中させ、セキュリティの不整合や誤った設定を継続的に監視・修正し、セキュリティ体制全体の改善に貢献します。CSPMのこのアプローチは、CASBとは異なる違いをもたらし、セキュリティ管理の範囲を広げる重要な要素となります。

組織がCASBとCSPMを選択する際の基準~違いを踏まえたアプローチ~

CASBとCSPMを選択する際には、それぞれのツールが提供するセキュリティの種類と企業のセキュリティ要件を理解することが重要です。このセクションでは、これまでのCASBとCSPMの違いを踏まえて、要件に合ったソリューションを選択するための基準について解説します。

どちらのツールが自組織に適しているかの判断基準

企業がCASBやCSPMの間で選択を行う際には、自社のクラウドサービス利用の具体的な状況、直面しているセキュリティの課題、そして管理するべきリソースの性質を分析し、両者の違いを正確に理解することが大切です。たとえば、社員が外部から多様なクラウドアプリケーションにアクセスする頻度が高い場合や、特定のSaaSツールに依存している場合には、CASBが非常に有効です。これに対して、広範囲にわたるクラウドインフラストラクチャを一元的に管理し、継続的なセキュリティ評価を実行する必要があるシナリオでは、CSPMの方がより適切かもしれません。この基準に基づき、企業は自社のクラウドセキュリティの態勢を強化するための適切なツール選択が可能となります。

CASBとCSPMの組み合わせの利点

CASBとCSPMを組み合わせて利用することで、セキュリティ対策の包括性と有効性を顕著に高めることができます。CASBは特にユーザーのアクセス行動とデータ移動に関する監視と管理に力を入れ、CSPMはこれに違いをもたらし、クラウドリソースの構成とポリシー遵守をチェックする役割を担います。両者の違いを融合させることで、組織はエンドポイントからクラウドインフラストラクチャに至るまで、より広範なセキュリティリスクへの対策を可能にします。このようにCASBとCSPMの違いを理解し活用することで、セキュリティのブランクを補填し、攻撃ベクトルの削減が可能となり、企業のクラウド資産とデータの総合的な保護へと繋げることができるのです。

CASBとCSPMの違いを理解し、セキュアなクラウド利用を実現する

CASBとCSPMはクラウドセキュリティを強化する上で非常に重要ですが、対応するセキュリティの側面において違いがあります。CASBは主にアクセス管理とデータセキュリティに、CSPMはクラウドリソースの構成整合性に焦点を置いています。この両ツールを理解し、戦略的に適用することで、企業はクラウドサービスを安全に活用し、全体のセキュリティ姿勢を高めることが可能です。適切な選択を行うためには、それぞれのツールが提供するセキュリティ機能と企業の具体的なセキュリティ要件との整合性を評価することが求められます。CASBとCSPMを組み合わせることで、これらの違いを補完し合い、多層的かつ全方位的なクラウドセキュリティ対策を実現し、より堅固なセキュリティ体制を築くことができます。

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