公式ブログ
Conoris VRM Labo

SASEとCASBの違いとは?アプローチ方法・対象領域・機能面から徹底比較

Posted on:
April 4, 2024

SASE(Secure Access Service Edge)とCASB(Cloud Access Security Broker)という新たなセキュリティアプローチが注目されています。これらの選択肢から最適なものを見極めるには、アプローチ方法や対象領域、機能面での違いを理解することが不可欠です。本記事では、SASEとCASBの比較を通じて、アプローチ方法、対象領域、機能面における違いを解説します。SASEとCASBの基本概要からスタートし、それぞれのアプローチ方法、対象セキュリティ領域、提供するサービスや機能に至るまで、掘り下げていきます。

SASEとCASBの概要から見る違いを比較

このセクションでは、それぞれの概要を通じて、これらの根本的な違いに焦点を当てます。SASEがネットワークとセキュリティを一体化させる一方で、CASBはクラウドアクセスを管理しセキュアに保つ手段を提供します。その違いに迫りましょう。

SASE(セキュアアクセスサービスエッジ)の概要

SASEは、企業が新しい働き方やクラウド利用の拡大に対応するための統合的なセキュリティアーキテクチャです。これは、ネットワークとセキュリティをクラウドベースで提供し、従来のハードウェア中心のアプローチから脱却することを目指しています。

SASEの中心には、SD-WANがあります。これにより、拠点やクラウドからのアクセスが柔軟に制御され、トラフィックが最適な経路を辿ることができます。また、セキュリティ機能もネットワークと統合され、エンドユーザーがセキュリティの心配なくリモートで作業できるようになります。SASEは、従来の手法と違い、柔軟性とセキュリティを同時に実現することで、ビジネス環境の変化に適応しています。

CASB(クラウドアクセスセキュリティブローカー)の概要

CASBは、SASEとは違い、企業がクラウドサービスを利用する際にセキュリティを担保するセキュリティプラットフォームです。CASBが特に注力するのは、従業員が異なるデバイスや場所からクラウドリソースにアクセスする際のデータ漏洩やセキュリティリスクの最小化です。

CASBは、企業に対してクラウドサービスの利用時にセキュリティポリシーを強化し、機密情報が不正にアクセスされないように保護する役割を果たします。この点において、CASBはSASEとは違い、主にクラウドサービスの利用に焦点を当てたアプローチを取っています。企業が複数のクラウドプロバイダーを利用する場合でも、CASBは統合的なセキュリティコントロールを提供し、セキュリティの強化とコンプライアンスの確保に寄与しています。

SASEとCASBのアプローチの違いを比較

SASEとCASBのアプローチには違いが見られます。SASEがゼロトラストネットワークの原則などに注力している一方で、CASBはクラウドセキュリティの要点として独自のアプローチを持っています。これらの違いを通じて、それぞれの手法が異なるアングルからアプローチしていることが明らかになります。

SASEのアプローチの方法

SASEは、ゼロトラストネットワークの原則やセキュアエッジの重要性、およびクラウドネイティブなセキュリティの実現に焦点を当てた新しいアプローチを提供しています。

1.ゼロトラストネットワークの原則

ゼロトラストネットワークは、"信頼しない、検証する"という原則に基づいています。これは、ユーザー、デバイス、アプリケーションがネットワーク内で自動的に信頼されないと見なされ、常に認証と認可を要求されるというアプローチです。

2.セキュアエッジの重要性

セキュアエッジはSASEの中核を成す要素であり、ユーザーやデバイスに最も近い場所でセキュリティサービスを提供します。これにより、データが送信される前にセキュリティが適用され、リモートワーカーや拠点の従業員がセキュアなアクセスを確保できます。

3.クラウドネイティブなセキュリティの実現

SASEはクラウドネイティブなアーキテクチャを採用しており、これによってセキュリティが従来のオンプレミス型の制約を超えています。クラウドネイティブなアプローチにより、セキュリティサービスはクラウド上で提供され、リソースの柔軟な拡張や縮小が可能です。

CASBのアプローチの方法

CASBは、クラウドセキュリティの複雑な環境において組織がデータ保護、アプリケーション可視性、クラウドサービスへの安全なアクセスを確保するために特化したアプローチを提供しています。

1.クラウドセキュリティの要点

CASBはクラウドセキュリティの要点にアプローチします。脅威保護ではマルウェア対策や侵入検知、データの暗号化で機密情報を保護しています。またセキュリティイベントのリアルタイム監視により、異常な活動を検知し、早期のセキュリティインシデント対応が可能です。

2.データ保護とアプリケーション可視性

CASBはデータ保護のアプローチにおいて、暗号化やDLP機能で機密情報を保護します。またアプリケーション可視性では、組織が利用するクラウドアプリケーションを可視化し、許可されていないアプリケーションの利用を制限するセキュリティポリシーを提供します。

SASEは広範なネットワークセキュリティをクラウドネイティブな形で統合し、ゼロトラスト、セキュアエッジ、クラウドネイティブなセキュリティを実現します。一方で、CASBはクラウドセキュリティの特定の要点に焦点を当て、データ保護やアプリケーション可視性を提供します。

SASEとCASBが対象とするセキュリティ領域の違いを比較

SASEとCASBは、対象とするセキュリティ領域も違います。SASEはゼロトラストネットワークやセキュアエッジなどに注力し、ネットワークとセキュリティの統合を強調します。一方で、CASBはアプリケーションの可視性などに焦点を当て、クラウドアプリケーションのセキュリティを強化します。これらの違いにより、セキュリティを強化するアプローチにおいて異なる側面にフォーカスしていることが明確となります。

SASEが対象とするセキュリティ領域

SASEは、ゼロトラストネットワーク、セキュアエッジ、FWaaS、SD-WANの領域において、従来のセキュリティモデルから進化しています。なお、SASEの中にCASBの機能も含まれていますが、このセクションではあえて説明を省略します。

1.ゼロトラストネットワーク

全てのユーザー、デバイス、およびアプリケーションが信頼されていないと見なされ、常に認証と認可を要求されるゼロトラストの原則を取り入れています。これにより、ネットワーク全体にわたる信頼性のないアクセスを防ぎます。

2.セキュアエッジ

SASEにおけるセキュアエッジは、分散されたエッジでセキュリティを提供し、ユーザーやデバイスに近く、クラウドベースで柔軟なセキュリティが可能になります。ゼロトラストネットワークの原則を適用し、クラウドネイティブなアーキテクチャでリアルタイムな保護を実現します。

3.FWaaS(Firewall as a Service)

FWaaSは、ファイアウォール機能をクラウドベースで提供するサービスです。SASEの一部として組み込まれ、セキュリティポリシーの一元管理や遠隔地のネットワークセキュリティの向上を促進します。

4.SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)

SD-WANは、ネットワークのアーキテクチャを柔軟かつ効果的に管理するための技術です。これは、広域ネットワークにおいて、異なる場所を柔軟かつ効率的に接続し、トラフィックを最適化するためにソフトウェアでネットワークを制御するアプローチを取ります。

CASBが対象とするセキュリティ領域

CASBが注力するセキュリティ領域には、データ保護、アプリケーションの可視性とコントロール、そしてコンプライアンスが含まれます。このセクションでは、CASBがこれらの重要な側面に焦点を当て、クラウドセキュリティにおいてどのように役立っているかを解説します。

1.データ保護

CASBはデータの保護を強化し、暗号化やDLP(Data Loss Prevention)機能を通じて機密情報の不正な利用や外部漏洩を防ぎます。

2.アプリケーションの可視性とコントロール

組織が利用するクラウドアプリケーションを明示的に可視化し、ポリシーに基づいてコントロールできるようにします。これにより、許可されていないアプリケーションの利用を防ぎます。

3.コンプライアンス

CASBは法的規制や業界基準に基づいたコンプライアンスを確保し、組織が法的な要件を満たすことを支援します。

SASEとCASBの提供するサービスやメリットの違いを比較

SASEとCASBは、それぞれ独自のサービスとメリットを提供しています。SASEは、ゼロトラストネットワークやSD-WANなどのメリットを提供し、企業のネットワークとセキュリティを一体化させます。一方で、CASBはデータ保護やコンプライアンスのサポートに焦点を当て、クラウドでのデータセキュリティを向上させます。ここでは、それぞれのサービスやメリットの比較を行います。

SASEの提供するサービスやメリット

SASEが提供するサービスとメリットに焦点を当て、まずはゼロトラストネットワークのメリットに迫ります。これに続き、セキュアエッジが提供する新たなサービス、FWaaSの柔軟なセキュリティ機能、SD-WANがもたらすネットワークの柔軟性を解説します。なお、SASEの中にCASBの機能も含まれていますが、このセクションではあえて説明を省略します

1.ゼロトラストネットワークのメリット

ゼロトラストネットワークは、信頼されていないネットワーク上でもセキュアなアクセスを提供します。すべてのユーザー、デバイス、およびアプリケーションは認証され、最小特権の原則に基づいてアクセス権が与えられます。

2.セキュアエッジの提供するサービス

セキュアエッジは、エッジネットワークでセキュリティ機能を提供します。これには、ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、仮想プライベートネットワーク(VPN)などが含まれます。

3.FWaaSのメリット

FWaaSは、クラウドベースのファイアウォールサービスを提供します。主なメリットには柔軟性、拡張性、遠隔地の拠点における簡便な適用があります。

4.SD-WANの柔軟性

SD-WANは、ソフトウェア制御によりネットワークを柔軟に管理します。帯域幅の最適化、複数の接続の効果的な利用、トラフィックの制御などが特徴です。

CASBの提供するサービスやメリット

CASBが提供するサービスとメリットに焦点を当てます。ますます重要性を増すデータ保護の機能から始め、次にアプリケーションの可視性とコントロールのメリット、アクセス制御の重要性に迫り、最終的にはコンプライアンスのサポートについて解説します。

1.データ保護の機能

データ保護機能により、組織はクラウドサービス上のデータを適切に管理し、機密情報の漏洩や不正アクセスを防ぐことができます。

2.アプリケーションの可視性とコントロールのメリット

クラウドアプリケーションの利用状況をモニタリングし、可視性を向上させます。可視性とコントロールの向上により、組織は従業員のクラウドサービス利用を把握し、セキュアな利用を確保することができます。

3.アクセス制御の重要性

ユーザーアクセスに対する厳密な制御を提供します。これには、認証、認可、シングルサインオン(SSO)などが含まれます。

アクセス制御の重要性は、権限のないユーザーからのアクセスを防ぎ、不正利用やデータ漏洩のリスクを最小限に抑えます。

4.コンプライアンスのサポート

コンプライアンスの要件を満たすようにサポートします。例えば、GDPR、HIPAA、PCI DSSなどの規制に対応できます。コンプライアンスのサポートにより、組織は法的な要件を満たし、罰金や法的な問題を回避することができます。

SASEとCASBの違いから導き出す新たなセキュリティ戦略

SASEとCASBはアプローチが違い、企業のセキュリティに独自の価値を提供しています。この違いを理解し、組み合わせることで新しいセキュリティ戦略が展開できます。

SASEはネットワークとセキュリティを一体化させ、ゼロトラストネットワークやSD-WANなどの利点をもたらします。逆にCASBはクラウド上のデータ保護とコンプライアンスに焦点を当て、クラウドセキュリティを向上させます。この違いを生かして、企業は包括的なセキュリティ対策を構築できます。

新たなセキュリティ戦略の鍵は、SASEとCASBの違いを組み合わせることにあります。企業はネットワークとデータの双方に焦点を当て、SASEの柔軟性とCASBのデータセキュリティを統合的に活用することで、複雑なサイバー脅威に対処できます。

日本の商習慣に合う形でVRM(ベンダーリスクマネジメント)領域のサービスを提供し、ITサービスや委託先企業のセキュリティチェック業務を改善しようとしています。
ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
お問い合わせはこちら