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セキュリティインシデントへの対応ガイド|事前準備から事後分析まで

Posted on:
March 7, 2024

セキュリティインシデントは、企業や組織が予期せず直面する重大な問題です。これらのインシデントは、情報漏洩、システムのダウンタイム、顧客の信頼の喪失など、組織に甚大な影響を及ぼす可能性があり、迅速なレスポンスが重要となります。本ガイドでは、対応フローの確立等の事前準備から初動対応、発生時の対応手順、判断基準の設定、適切な対策の実施、そして事後分析と報告に至るまで、セキュリティインシデントに対応するための包括的な手順を詳述します。効果的な対応マニュアルの策定により、組織はセキュリティ対応能力を向上させ、将来的な脅威への備えを強化することができます。

セキュリティインシデントとは?

セキュリティインシデントとは、企業や組織が遭遇する可能性のある情報セキュリティに関するあらゆる違反や脅威のことを指します。これには、ウイルス感染、不正アクセス、データ漏洩、サービス妨害攻撃(DDoS)、ランサムウェアによる被害など多様な形で発生し得ます。各インシデントは、組織の運営に重大な影響を与える可能性があり、それには情報の損失やシステムのダウンタイム、さらには組織の信頼性や業務継続性への損害が含まれます。このようなインシデントは、技術的な脆弱性の悪用だけでなく、人的な過ちやセキュリティ対策の不備からも生じることがあり、その範囲と影響は事例によって大きく異なります。セキュリティインシデントの理解と適切な報告、それに基づく判断基準の設定、そして対応フローの確立は、組織がこれらの脅威に対して効果的に対応し、組織の安全性を向上するために不可欠です。

セキュリティインシデント発生前に対応すべき事

セキュリティインシデント発生前の準備と予防策は組織の安全確保にとって必要不可欠です。このセクションでは、セキュリティインシデントが発生する前に必要な予防策、さらには組織が迅速に行動を起こせるようにするための明確な対応手順の構築、対応計画の策定に焦点を当てて詳しく説明します。

予防策の策定と事前準備

事前準備と予防策を講じることで、組織はセキュリティインシデントの発生頻度を減らし、発生した場合でもその影響を最小限に抑えることができます。予防策には、以下のようなものが含まれます。

・技術的対策の強化…ファイアウォールの最適化、侵入検知システムの導入、エンドポイント保護ソフトウェアの更新など

・従業員への定期的なセキュリティ意識向上プログラムの実施…パスワード管理、マルウェアからの保護、フィッシング詐欺に関する研修など

・最新の脅威情報へのアクセス…IPAが公開している「重要なセキュリティ情報」等を利用して最新情報を入手

事前準備には、以下のようなものが含まれます。

・セキュリティインシデント対応計画や対応フローの策定、対応手順の明確化

・重要データの定期的なバックアップ

これらの措置を講じることにより、組織はセキュリティインシデントに迅速かつ効果的に対応し、そのリスクを大幅に低減させることができるのです。

インシデント対応計画の策定

セキュリティインシデントへの対応計画は、組織がインシデントに迅速かつ統合的に対応するための基盤を築きます。計画には、次のような点を詳細に記述する必要があります。

・インシデント対応チームの役割と責任

・緊急時の連絡および報告手順

・具体的な対応フローや対応手順

この計画の策定と定期的な見直しにより、組織はセキュリティインシデントの影響を効果的に管理し、迅速な復旧を支援することができます。重要なのは、対応計画が最新の脅威情報に基づいて定期的に更新されること、そして全従業員がセキュリティ意識向上のための継続的な訓練を受けることです。これにより、未知の脅威にも柔軟かつ迅速に対応できるようになります。

セキュリティインシデント発生時の対応フロー/対応手順

セキュリティインシデントが発生した際の対応フローおよび対応手順は、組織が迅速かつ適切に問題に対処するための道しるべとなります。このセクションでは、発生時の対応フロー、初動、内部及び外部とのコミュニケーション、脅威の特定、そしてシステムの復旧に至るまでの重要な手順を詳細に説明します。

対応フロー1:初動対応~インシデントの検出と評価~

インシデント検出の直後、対応フローに基づく迅速な評価と初動対応が重要となります。この初期段階で、インシデントの性質、影響範囲、及び組織への影響を素早く把握し、対応フローに沿って効率的に情報を収集・分析することが求められます。インシデントレスポンスチームは、あらかじめ設定された対応フローと対応手順を活用し、効率的に情報を収集・分析し、初期の状況把握に努めます。この時、影響を受けたシステムの特定、脅威の広がりの評価、およびリスク要因の洗い出しが行われ、得られた知見はその後の対応策決定と、予防策の強化に向けた基礎情報として活用されます。

対応フロー2:内部および外部ステークホルダーとのコミュニケーション

セキュリティインシデント発生時のコミュニケーションは、対応フローに基づき、内部スタッフと外部ステークホルダー双方に対して透明性を持って行われるべきです。この段階で気を付けるべき事は、一貫性と正確性をもって情報を共有し、不要な混乱や憶測を避けることです。インシデントレスポンスチームは対応フローに沿って、セキュリティインシデントの詳細、予想される影響、および取られている対策に関する情報を適切なタイミングで関係者に報告します。このように情報を共有することで、組織内の信頼を守りつつ外部からの援助や理解の獲得につながります。

対応フロー3:脅威の特定と対策

このステップでは、セキュリティインシデントの原因となった脅威を迅速に特定し、対象の脅威に対して即座に対策を講じることが重要です。例えばランサムウェア攻撃が発生した際は、攻撃の源泉を特定するためにメールログや不正アクセスの痕跡を詳細に分析します。この分析を通じて、攻撃者が利用した手法や侵入経路が明らかになり、対応フローに基づいて即時の対策を実施します。特定された脅威に対しては、適切なセキュリティパッチの適用、感染拡大の防止策、または攻撃に利用されたエントリーポイントの閉鎖など、早急な対応が求められます。

対応フロー4:システムの復旧

システムの復旧においては、セキュリティインシデントにより影響を受けたシステムやサービスの迅速な修復と復旧が求められます。復旧計画に基づき、被害を最小限に抑えながら効率的に作業を進め、システムを初期の運用状態に戻すことがこのステップの目標です。復旧作業の進捗と成果は、インシデントレスポンスチームによって定期的に報告され、全体の対応フローと連携して進められます。復旧作業の完了判断基準としては、システムがインシデント発生前の性能レベルへ復帰しているか、そして安定してユーザーへのサービス提供が可能かどうかが重要な指標となります。これらの判断基準に基づき、徹底したテストと検証を行い、システムの正常化を確認します。この段階の徹底した報告と評価は、未来のセキュリティインシデントへの備えとセキュリティ強化に直結します。

セキュリティインシデントの事後分析対応

セキュリティインシデントの事後分析は、将来にわたって同様の脅威を防ぐために重要なプロセスです。このセクションでは、セキュリティインシデントの詳細なレビュー、根本原因の分析、継続的なリスク評価と改善策の実施に焦点を当て、組織のセキュリティ体制を強化する方法について探ります。

インシデントレビューと根本原因の分析

インシデントレビューと根本原因の分析を行うことで、セキュリティインシデントの背後にある原因を詳細に調査し、深い理解を得ることが可能となります。この分析を通じて、組織は発生したインシデントの全体像を把握し、影響を受けたシステム、プロセス、人的要因など、様々な側面からインシデントを評価します。例えば、ログファイルの分析やフォレンジック、従業員のインタビューなどがインシデント分析を行う方法として挙げられます。根本原因の明確化に成功すれば、その知見に基づく対策を講じ、組織のセキュリティ態勢を根本から強化することが可能となり、将来同様のセキュリティインシデントの発生を効果的に防ぐことの他、対応フローや初動対応の質を高めることができるでしょう。

継続的なリスク評価と改善策の実施

この段階での取り組みは、特定された脆弱性への対応と将来のセキュリティインシデントリスクを軽減するための戦略的措置を含みます。具体的には、最新のセキュリティパッチの適用、セキュリティ設定の最適化、アクセス制御の厳格化、従業員向けセキュリティ意識向上プログラムの実施などが挙げられます。対応フローを適切に管理し、これらの改善策の報告と評価を通じて、組織はセキュリティ対策の効果を最大化します。さらに、これらの改善計画の成果を定量的に把握するための指標設定と、それに基づく継続的なモニタリングと定期的レビューが行われ、組織のセキュリティ体制の強化とその効果の検証が進められます。

セキュリティインシデントから学び対応力を強化する

本記事では、セキュリティインシデントへの総合的な対応フロー、迅速なレスポンスの実施、事後分析の重要性について詳しく探りました。事前の準備と予防策がインシデント発生時のダメージを最小限に抑える鍵であること、セキュリティインシデント発生時には確立された対応フローと手順に従い、迅速かつ適切なレスポンスを実行し、関連情報を適時に報告することの重要性を強調しました。そして事後分析によって得られた教訓を活かし、将来の脅威に対する対応力を高めることが、組織のセキュリティ態勢を一層強化することに繋がると解説しました。この一連のプロセスを繰り返すことで、組織はセキュリティインシデントへの対応力を高め、より堅固なセキュリティ体制を構築することが可能となるでしょう。

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